かといって、じゃあ、指示に従っていれば問題は解決したのか、と言われると、疑わしい。施設の管理スタッフを呼んだのは僕が強硬に主張したからで、僕が言わなければ呼ばなかったし、問題は解決しなかった。今回の件で、こちらの音声が流れ込んだ隣の部屋は、何人かがセッションを潰されてしまった。代替は無し。トラブルを起こした部屋の管理担当として、僕は相当恨まれた事だろう。指示通りにセッションを止めていれば、被害はこちらにも波及したわけで、上から指示を受けて慌てて設定を見直す僕を見て、こちらの部屋の参加者が何を思うか、という話だ。組織の末端として忠実に動いていたら、僕は100%完全無欠に何の瑕疵もない件で責任を負わされ、参加者の記憶には「トラブルメーカー」として刻まれる事になる。少なくとも組織の構成員としては、こちらが正しいのかも知れない。あまりに失う物が大きいけれども。
どちらが正しかったのか、僕には未だ分からない。当時は筋を通したつもりでいたが、本当にそうだったのか、良く分からなくなっている。